塩化カルプロニウムの育毛効果は?市販品と処方薬との違いも解説!

塩化カルプロニウムは、脱毛症治療に用いられる外用薬です。医療機関で処方されるほか、市販の育毛剤にも配合されます。

日本皮膚科学会が脱毛症への利用を認めている成分ではありますが、実際にどの程度の効果があるか気になるところです。

この記事では、塩化カルプロニウムの効果や作用の仕組みなど、使用前に知っておきたい情報を分かりやすくまとめています。

入手方法も詳しく紹介しているので、使うかどうか迷っている人はぜひ参考にしてください。

塩化カルプロニウムとは?育毛効果や作用機序を解説!

塩化カルプロニウムは医薬品であり、効能もあれば副作用もあります。使用前に、しっかりと情報収集しておくことが望ましいでしょう。

塩化カルプロニウムの育毛効果や作用機序、利用者の口コミを紹介します。

塩化カルプロニウムとは?

塩化カルプロニウムは、脱毛症や乾性脂漏(ふけ症)の治療に用いられる医薬品です。商品名としては「フロジン外用液」がよく知られています。

塩化カルプロニウムは国内で膨大な使用実績があり、長年多くの脱毛症患者に処方されてきました。円形脱毛症、悪性脱毛症、び漫性脱毛症、粃糠性脱毛症、壮年性脱毛症、症候性脱毛症などに効果があります。

脱毛症治療には、外用薬(塗り薬)として用いられます。「1日2~3回、頭皮に塗布して軽くマッサージする」といった用法が一般的です(薬剤ごとに要確認)。

塩化カルプロニウムを脱毛症治療に用いるのは、局所血管拡張作用のためです。塗った部分の血管が広がり、血流増加により発毛が促されます。

塩化カルプロニウムの有効性について、日本皮膚科学会の「脱毛症診療ガイドライン」では「推奨度C:行ってもよい」と評価されています。ある程度の効果は認めたものの、強く推奨してはいません。

塩化カルプロニウムは発毛剤として、比較的穏やかな薬効を持ちます。症状や体質との相性により、発毛効果が得られる場合もあれば、そうでない場合もあるのです。

一方、重篤な副作用が報告されている医薬品に比べ、手軽に使えるメリットがあります。厚生労働省発表の医薬品のリスク程度評価では、重篤な副作用のおそれは報告されていません。

塩化カルプロニウムの作用機序

塩化カルプロニウムの発毛効果は、局所血管拡張作用による血流や代謝の促進によるものです。

血管拡張作用は、塩化カルプロニウムが神経伝達物質「アセチルコリン」に似た働きをすることで生じます。

アセチルコリンは、ヒトや動物における重要な神経伝達物質です。様々な臓器ごとに異なる作用を持ち、血管には拡張作用を示します。

この作用は、アセチルコリンが血管内側を覆う内皮細胞に一酸化窒素(NO)の放出を指示し、生じたNOが血管を拡張させるという機序によります。

塩化カルプロニウム分子はアセチルコリン類似構造を持ち、体内の受容体が同じ分子と誤認して、アセチルコリン様の働きをします。

頭皮に塩化カルプロニウムを塗布すると、優れた皮膚浸透性により付近の血管へと浸透します。この際にアセチルコリンと同様に認識され、血管の拡張が起こるのです。

髪の悩みは血行の悪さが一因とされます。血管拡張作用のある薬で血流を改善すれば、毛根に栄養分や酸素が行き届き、薄毛や抜け毛の改善が期待できます。

塩化カルプロニウム製剤の薬効試験でも、機能低下状態の毛嚢(毛穴)に作用し発毛を促進する効果が裏付けられています。

「コリンエステラーゼ」で分解されにくいのも特徴

アセチルコリンは生体内にある物質ですが、医薬品成分としても利用可能です。

塩化カルプロニウムは、本物のアセチルコリン製剤よりも優れた薬効があります。患部で分解されにくく、長時間効果的に働きます。

アセチルコリンは神経伝達物質として働いた後、速やかに分解されます。酵素「コリンエステラーゼ」により「アセチル基」というパーツが切断されるためです。

この分解は神経系調節を担う一方、アセチルコリン製剤の使用時には薬効低下を引き起こします。

塩化カルプロニウムには、アセチルコリンと異なりアセチル基がありません。コリンエステラーゼが上手く作用せず、強い薬効が長時間保たれるのです。

ウサギの動物実験データによると、塩化カルプロニウムは「アセチルコリンの約10倍の局所血管拡張作用」を示しています。

フロジン外用液の効果は?口コミで検証!

「フロジン外用液」は塩化カルプロニウムを有効成分とする脱毛症治療薬で、病院で処方されます。

フロジン外用液の効果について、利用者の口コミを紹介します。

  • ダイエットしたせいか、薄毛と生え際が後退してました。
    フロジン使い始めて2ヶ月くらいで、生え際が下りてきたと実感はしてます。
    ちょうど生え際にホクロがあってよく分かるんです。
    ただ、薄毛には効いてない気が…
    ちなみに、毎晩寝る前に1回塗っているだけです。
  • 塗り始めてから2週間ぐらい経過。
    抜けてから1年ぐらい、全く変化がなかった部分から産毛が生えてきたよ。
    これからどうなるのか分からないけど期待してる。
  • 縦横4センチの円形脱毛症です!
    自分は、毎日ではなく気が向いた日に塗っているのですが、今は産毛が少しずつ生えてきてますよ!
  • フロジンとプロペシア併用して4ヶ月くらい、すごい勢いで生えてきました。
    フロジンは効かないって話があるみたいですね。
    でもプロペシア併用で効果出てるって病院でも言ってました。
  • 使ったけどイマイチ効果なかった。
    円形脱毛とか病的なハゲには有効だけど、ただのハゲには中々効かないでしょ。
  • フロジン使って気持ち悪いくらい毛が生える速度が上がったが、生え際は以前のまま。
    どうやらM字ハゲの俺には無用の薬のよう。

実際に効果を実感するかどうかは、個人差があるようです。

塩化カルプロニウムは女性にも効果がある?

脱毛症治療薬には、女性の治療に適さないフィナステリド(抗男性ホルモン剤)などもあるため注意が必要です。

一方、塩化カルプロニウムは女性も使える薬です。医療機関では、女性の薄毛治療薬としても処方されます。

女性にも使えるのは、塩化カルプロニウムが男女共通の身体の仕組みにアプローチするためです。

塩化カルプロニウムはアセチルコリン様作用を持ちます。アセチルコリンは、年齢や性別を問わず誰の体内にもある神経伝達物質です。

このため、塩化カルプロニウムを頭皮に塗れば、性別に関わらず同じ作用(局所血管拡張作用)を示します。頭皮や毛根周辺の血流促進効果が、女性にも発揮されるのです。

薄毛に悩む女性にとっても、塩化カルプロニウムの使用は一つの選択肢です。

しかしながら、髪のことが気になる女性には、専門のクリニック受診をおすすめします。女性の薄毛や脱毛は、原因が実に多様なためです。

加齢だけでなく、ストレス、生活習慣、貧血や頭皮の炎症など原因は多岐にわたり、自分で判定するのは困難です。専門医ならば、原因を検証して適切な治療を施せます。

抵抗を感じるのは当然ですが、この記事でも紹介するAGAヘアクリニックのように、女性の受診に配慮したクリニックもあります。ぜひ、勇気を出して悩みを解決しましょう。

塩化カルプロニウムは市販されている?

塩化カルプロニウムは処方箋不要の市販薬にも配合され、発毛剤として売られています。

市販薬と医療機関での処方薬には大きな違いがあります。適切な選択ができるように、それぞれの違いを解説します。

市販の塩化カルプロニウム配合発毛剤の例:カロヤン

市販の塩化カルプロニウム配合発毛剤には、カロヤン(第一三共ヘルスケア)の発毛促進剤があります。処方箋なしで、ドラッグストアや通販で購入可能です。

用途に応じた多数のラインナップがあり、各商品の特徴は表のとおりです。

商品名塩化カルプロニウム濃度特徴
カロヤン プログレ EX O2%脂性肌向き
カロヤン プログレ EX D2%乾燥肌向き
カロヤン プログレ O1%脂性肌向き
カロヤン プログレ D(製造終了)1%乾燥肌向き
カロヤン プログレ GL1%ピンポイント用
NFカロヤンガッシュ2%生薬配合
NFカロヤンアポジカΣ1%生薬配合
カロヤンS1%ふけ・かゆみ抑制

カロヤンの発毛促進剤は、塩化カルプロニウムが1~2%配合されています。副作用リスク低減のため、処方薬よりも低濃度の配合です。

市販の塩化カルプロニウム配合発毛剤と処方薬の違い

市販薬と処方薬では、入手方法や塩化カルプロニウム濃度に違いがあります。まずは、両者の特徴を比較しましょう。

市販薬の塩化カルプロニウム配合発毛剤には、次の特徴があります。

  • メリット:ドラッグストアや通販で購入可能
  • デメリット:塩化カルプロニウムが低濃度(最大2%)・自己責任で使用
  • 製品例:「カロヤン」の発毛促進剤

処方薬の塩化カルプロニウム製剤には、次の特徴があります。

  • メリット:塩化カルプロニウムが高濃度(最大5%)・医師指導下に使用
  • デメリット:医療機関受診が必要
  • 製品例:「フロジン外用液5%」「アロビックス外用液5%」

市販薬は、医療機関を受診せずとも購入できます。受診料や手間が要らないうえに、こっそり買えることがメリットです。

しかし、安易に市販薬を選ぶのは考え物です。目的は塩化カルプロニウムの薬効を得ることであり、「薬を塗りさえすればよい」との考えは本末転倒でしょう。

処方薬の特徴は、高濃度の塩化カルプロニウムです。5%の配合量は市販薬の2倍以上で、それに応じた効果が期待できます。より速く確実な改善を求める人は、処方薬を使うのが賢い選択です。

塩化カルプロニウムは市販品より病院で処方してもらうのが効果的!

塩化カルプロニウムを使うなら、市販発毛剤を買うより、病院での処方が効果的です。

薬剤濃度の高さに加え、何よりも「医師による適切な治療・処方」の恩恵が大きいでしょう。

男性ホルモンが原因のケースなど、塩化カルプロニウムだけでは解決しない症状でも、適した治療を受けられます。医師から適切な診断と治療を受けることが、悩み解決への最短ルートです。

もっとも、命や健康に直結しない髪の悩みは、医学界で軽視されることもあります。

そこで、髪の悩みへの対応を公言しているクリニックがおすすめです。毛髪への深い見識を持つ医師が在籍し、プライバシーに配慮した診察が行われます。

髪の悩みに真摯な対応をしてもらえるクリニックを紹介するので、ぜひ足を運んでみてください。

おすすめのクリニック:AGAヘアクリニック

AGAヘアクリニック

AGAヘアクリニックは、AGA(男性型脱毛症)治療を専門とする病院です。秋葉原にある本院に加え、さいたま市の大宮にも新規開院(2019年12月)しています。

明瞭会計やプライバシー確保を徹底しており、「安心して続けられる治療」をモットーに掲げるクリニックです。

初診や再診は無料で、血液検査と治療薬に費用がかかるシンプルな料金システムです。主な治療薬費用(税込)は次の通りです。

  • フィナステリド配合内服薬:5,500円
  • デュタステリド配合内服薬:8,000円
  • ミノキシジル配合内服薬:10,000円
  • ミノキシジル配合外用薬:10,000円
  • 女性専用内服薬:9,500円

治療費の平均は税込み月々20,000円で、最大でも31,000円と明示されています(シャンプーなどのオプションや血液検査費用を除く)。高額請求の心配がなく、治療に専念できます。

プライバシーへの配慮も万全です。個室カウンセリングルームにて、診察から会計まで移動せずに済ませられます。

スマホアプリによるオンライン診察も可能です(初診を除く)。テレビ電話形式での診察や薬の配送により、通院の負担を小さくできます。

AGAヘアクリニックは、「相談しにくい髪の悩み」に、とことん配慮して運営されています。これまで受診に抵抗があった人にもおすすめです。

おすすめのクリニック:秋葉原中央クリニック

秋葉原中央クリニック

秋葉原中央クリニックは、美容外科として30年近い実績を持つ「中央クリニックグループ」の秋葉原院です。

薄毛治療の充実した治療方法が特徴で、内服薬や外用薬による治療のみならず、HARG(ハーグ)療法を施術可能な数少ない病院です。

HARG療法とは、幹細胞から抽出された成長因子AAPEと栄養素を、直接頭皮に注入する発毛増毛治療です。休止している毛根を再活動させることで、大きな発毛効果が得られます。

治療時間は10~20分程度と短時間です。MEDJET法と呼ばれるノンニードル(針無し)の方法により、頭皮に針を刺さない施術も選べます。

HARG療法は、他の治療方法では効果が薄かった人にも発毛効果があるとされます。費用は最低でも10万円程度からと高額ですが、どうしても髪を生やしたい人におすすめの選択肢です。

もちろん、一般的な治療方法も充実しています。専門性の高い医師により、幅広い治療メニューから、症状に合った最適な治療法を提案してもらえます。

診察後には、有資格の毛髪診断士によるヘアケアアドバイスがあるのも特徴です。

無料の初診や再診、完全個室によるプライバシーへの配慮など、薄毛治療で重視ししたいポイントはしっかりと抑えられており安心できます。

塩化カルプロニウムの使用に迷ったら専門クリニックへ!

塩化カルプロニウムは、脱毛症治療の外用薬として用いられます。配合された市販発毛剤もありますが、高濃度な処方薬はより高い効果が得られます。

ただし、処方薬であれ、脱毛症治療薬の中では穏やかな効き目です。症状の種類や進行度により、効果が得られないことも多いでしょう。

しっかり結果を出したい人は、専門のクリニックを訪れるのがおすすめです。原因を調べたうえで、塩化カルプロニウムに限らず、症状に応じた治療が受けられます。