男性ホルモンは男らしい身体作りや精神のあり方にかかわるホルモンです。アスリートやたくましい体を作りたい人にとっては、分泌量が多いほうが望ましいでしょう。
とはいえ、分泌量が多すぎると、皮脂が過剰になってテカりやニキビの問題がでたり、AGAになりやすかったりとトラブルも起きやすくなりがちです。
そのため、男性ホルモンを抑制したいと考えている人もいるのではないでしょうか。
そこで、ここでは男性ホルモンの量や働きを抑制する食品や薬について、成分や効果、安全性などの観点から解説します。
男性ホルモンを抑制する食品・薬はある?
男性ホルモンの名前や働きは漠然と知っていても、詳しくは知らない人が多いのではないでしょうか。
ここでは、そもそも男性ホルモンとは何か、減らすことによるメリットを説明し、抑制作用があると噂される成分や薬についても解説します。
そもそも男性ホルモンとは
男性ホルモンには、以下のような種類があります。
- テストステロン
- デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)
- アンドロステンジオン
- ジヒドロテストステロン(DHT) など
一般に、男性ホルモンというとテストステロンを指すことがほとんどです。
テストステロンは筋肉増強と、体脂肪を減らす働きがあります。高い決断力や好奇心、バイタリティなどなど精神のあり方にも大きく関与しています。
テストステロンと酵素の5αリダクターゼが結びつくと、DHTが生成されます。DHTは外性器の形成などにかかわるため幼少期には重要な一方、成人後はあまり必要ではありません。
むしろ、AGAによる薄毛や前立腺肥大など、さまざまな問題を引き起こすため、抑制すべき悪玉男性ホルモンといえます。
男性ホルモンを減らすメリットは?
男性ホルモンのうち、DHTは男性型脱毛症(AGA)を引き起こす原因となります。
これは、DHTが髪の根元にある毛乳頭細胞に存在するレセプターと結合すると脱毛因子を発し、抜け毛を促すからです。
そこで、DHTを抑制すれば薄毛リスクが下がります。DHTは前立腺肥大や前立腺がんにも関わっているため、そのリスクも低下します。これがもっとも大きなメリットでしょう。
テストステロンの抑制は、過剰な皮脂分泌を抑え、頭皮のべたつきや顔のテカリ、ニキビなどの改善につながる点がメリットといえるでしょう。
とはいえ、テストステロンは男性的で健全な肉体と精神の維持に欠かせないため、むやみに減らすことはあまり良くありません。
筋力が落ちて太りやすくなったり、気分の落ち込みなどのうつ症状を招きやすくなる恐れがあります。
薄毛悩みには「DHT抑制」が必要
薄毛やひどい脱け毛が気になり、男性ホルモンのせいかもしれないと考えている人もいるでしょう。
先にも述べたように、薄毛の悩みを解消するなら、男性ホルモンのなかでもDHTの働きを抑制することが大切です。
DHTはテストステロンと5αリダクターゼが結びついて生成されます。5αリダクターゼの活動を抑制すれば、DHTの量を抑えることが可能です。
5αリダクターゼを抑制するには内服薬の服用が効果的で、薄毛治療でよく使われます。そのほか、抑制効果があると考えられている成分を含む食品を摂るのも良いでしょう。
生活習慣を整えることも大切です。生活習慣が乱れるとホルモンバランスが崩れてテストステロンの量が増加し、DHTの増加に結びつく可能性があるからです。
イソフラボンが男性ホルモンを抑制するって本当?
大豆などのマメ科植物にはイソフラボンがたくさん含まれてます。イソフラボンはポリフェノールの一種で、女性ホルモンのエストロゲンとよく似た化学構造をしているのが特徴です。
エストロゲンは、肌の新陳代謝促進や髪のハリ・ツヤ維持、自律神経の安定などさまざまな良い働きをします。
イソフラボンを摂取すると体内でエストロゲンに似た働きをするため、相対的に男性ホルモンの影響を抑えることが可能です。
豆腐や納豆、油揚げなどの大豆製品に多く含まれるため、毎日の食事に積極的にとりいれると良いでしょう。
なお、イソフラボンの摂取上限は1日70~75mgです。少々多めに摂取しても自然に排出されますが、一応の目安として覚えておきましょう。
プエラリアが男性ホルモンを抑制するって本当?
イソフラボンのようにエストロゲンとよく似た物質が含まれるとして注目されているのが、プエラリア・ミリフィカです。
これはタイ北部に自生するマメ科の植物で、ダイゼインやゲニステイン、ゲニスチンなど複数の種類の植物エストロゲンが含まれています。
現在、プラエリアを原材料としたサプリメントが複数販売されています。摂取すれば、体内でエストロゲンと似た働きをし、結果的に男性ホルモンを抑制できるでしょう。
ただし、プラエリアには非常に強いエストロゲン活性を示す物質も含まれているため、摂取量によってはホルモンバランスを崩すケースが報告されています。
プラエリアを含む健康食品を摂るときは、摂取量を守り、体調に十分気を配りましょう。
緑茶が男性ホルモンを抑制するって本当?
緑茶にはさまざまな健康効果があるとされています。これは、緑茶に含まれるカテキンやテアニン、ビタミンCの働きによるものです。
このカテキンに、5αリダクターゼを抑える作用があることが報告されています。そのため、緑茶を飲めばDHTの抑制が期待できるでしょう。
カテキンには、5αリダクターゼの抑制以外にも抗酸化や抗菌・抗ウィルス作用があることも分かっています。
体内で細胞や組織に害を及ぼす活性酸素を抑制することで老化や病気の予防につながります。
テアニンやビタミンCなどカテキン以外の成分も、育毛に役立ちます。たとえば、テアニンにはリラックス効果があり、薄毛を招くストレスの軽減や睡眠の質の向上が期待できます。
男性ホルモンを抑える・減らす薬は?市販薬もある?
DHTが生成されないように5αリダクターゼの活動を阻害する薬もあります。プロペシアやザガーロなどが有名で、主成分はフィナステリドやデュタステリドです。
ただし、男性ホルモンを抑える薬は、医師の処方箋がなければ購入できません。市販薬はなく、一般のドラッグストアや薬局では買えません。
海外から個人輸入する方法もありますが、偽物や粗悪品が混じっている例もあり、医師の指導なしにむやみに服用すると危険です。気軽に手を出すのはやめましょう。
このほか、前立腺肥大など男性ホルモンの作用による疾患の治療のために用いられる抗アンドロゲン薬もあります。もちろん、これらも医師の処方のもと服用することが大切です。
男性ホルモンを抑える育毛剤はある?
薄毛が気になりだしたとき、手軽な対策として多くの人が思い浮かべるのが育毛剤の活用ではないでしょうか。
育毛剤は、頭皮の環境を整えて抜け毛を減らし、今ある髪が健やかに成長するようサポートするものです。
育毛剤によって比率や種類はもちろん異なりますが、以下のような成分が配合されています。
- 血行を促進し発毛を促す
- 炎症を抑え頭皮環境を整える
- 抜け毛を予防する
このうち、抜け毛を予防する目的で、5αリダクターゼの活性化を抑えるとされる成分が配合されている育毛剤も多いです。
ノコギリヤシやキャピキシル、ヒオウギエキス、オウゴンエキスなどがよく使われます。
男性ホルモンの一種「DHT」を抑制したい人がすべきこと
ここでは、DHTを抑制したいのであれば実施すべき基本的な対策をまとめて紹介します。いずれの方法も、生活のなかですぐに取り組めるものばかりです。
即効性はないので、地道にとりくみましょう。
食生活の改善
毎日脂っこいものをつまみに晩酌していたり、仕事の合間に甘いものを食べていたりしませんか。まずは食生活を改善することが大切です。
アルコールや糖質、脂質の摂り過ぎは男性ホルモンの分泌を促すもとのため、摂りすぎないようにしましょう。
亜鉛やイソフラボンを含む食材を意識して食生活に取り入れ、積極的に摂取するのもおすすめです。
亜鉛は、5αリダクターゼを抑制する効果があるとされるだけでなく、アミノ酸から髪を合成する際にも必須の成分です。
亜鉛は牡蠣やウナギをはじめとした魚介類、肉類などに、イソフラボンは大豆製品に多く含まれます。食生活だけでは難しい場合、サプリメントで補うのも良い方法です。
睡眠の改善
睡眠不足の日々が続くと、自律神経のリズムが乱がちになります。休息を司る副交感神経に切り替わらなくなり、活動を司る交感神経が優勢な状態が継続してしまうのです。
筋肉の緊張状態が続て血行不良を招くため、これだけでも髪にとって良くありません。
さらに、自律神経とホルモンの分泌をコントロールする部位が近いことからホルモンバランスがつられて乱れ、男性ホルモンの分泌量が多くなることがあります。
男性ホルモンの分泌量を正常にし、バランスを保つためには、決まった時間に十分な睡眠をとることが欠かせません。
睡眠環境を整え、就寝の直前にスマホやパソコンを見ないようにして、神経を興奮させる行動はなるべく控えましょう。
生活習慣の改善
なるべく起床や就寝の時間を一定にして生活リズムを整えるとともに、体を動かす習慣がない人は生活に適度な運動を取り入れることも大切です。
運動をすると充実感や達成感が得られ、ストレスの解消につながります。
過度のストレスはホルモンバランスの乱れにつながり、男性ホルモンの分泌過多を招きます。運動をして適度に解消することが望ましいのです。
ただし、激しい運動は却ってストレスになりかねません。ウォーキングやサイクリングなど手軽に続けやすい運動にしましょう。
運動は全身の血行も促進するため、毛母細胞にも栄養がいきわたりやすくなります。栄養が届くほど髪も元気になり、薄毛の緩和につながります。
一番確実なのはクリニックの受診
男性ホルモンを抑える方法を紹介してきましたが、セルフケアだけでは限界があります。
DHTを抑制したいのであれば、セルフケアも続けつつ、薄毛治療を専門とするクリニックを受診して適切な治療を受けるのがおすすめです。
専門クリニックでは、5αリダクターゼの活性を阻害する内服薬の処方が受けられ、抜け毛を防げます。
抜け毛を予防したうえで発毛剤を使用することで新しい髪が生え、全体の量を増やせるため、薄毛を効果的に治療できるのです。
内服薬ではあまり変化が見られなかった場合も、注入治療や自毛植毛など別の治療法を選べます。
クリニックは、実績と評判が十分なところを選びましょう。料金には幅があるため、事前に確認することが大切です。
グローバルビューティークリニック
グローバルビューティクリニックは東京と大阪にある美容外科・美容皮膚科で、AGA・薄毛治療の専門外来は大阪院にあります。
AGA・薄毛治療の専門外来は、「薄毛に悩む若い人をなくしたい」とのコンセプトから立ち上げられました。
20代の男性は男性ホルモンの分泌が盛んで、はげる危険も大きい時期です。若い時期に適切な対策がとれるように、遺伝子検査や血液検査などを無料で実施しています。
検査結果や希望に合わせ、現状維持や発毛促進など、希望に合わせたコースを選択可能です。
たとえば、進行ストップコースではDHTを抑制するフィナステリドのジェネリック薬が処方されます。初月1980円(税込)、翌月以降5280円(税込)と負担の少ない金額で受けられます。
AGAヘアクリニック
AGAヘアクリニックは、東京の秋葉原と埼玉の大宮に院を展開するAGA・薄毛治療の専門クリニックです。
カウンセリングは毛髪診断士やメンタルケア心理士の資格を持つカウンセラーが担当し、薄毛に悩む患者の気持ちに寄り添って相談にのります。
AGA治療は高額なイメージがありますが、AGAヘアクリニックは良心的な料金設定で、治療費の平均は月々1万5000円ほどです。
男性ホルモンを抑制し抜け毛を防ぐだけであれば、もっと安く治療を受けることもできます。
遠方に住んでいる場合も、専用アプリをダウンロードすればオンラインで受診可能です。初診からオンライン診療に対応しているため、まずは相談してみてはいかがでしょうか。
横浜中央クリニック
横浜中央クリニックは、横浜にあるAGA・薄毛治療のクリニックです。医師やカウンセラーはすべて男性のため、女性がいると悩みを話しづらい人も安心して相談できるでしょう。
内服薬と外用薬の処方のほか、LED療法やHARG療法も選択可能です。HARG療法はHARGカクテルと呼ばれる薬剤を頭部に注入する療法で、認定された医療機関でしか実施できません。
そのほか、シャンプーやヘアケアエッセンス、プラセンタ・コラーゲンのサプリメントなどオリジナルのケア用品も豊富にそろっており、治療と併用するのがおすすめです。
フィナステリド(ジェネリック)の単剤処方で5500円(税込)、HARG療法は頭部3/1で1回8万円です。
男性ホルモンの抑制についてよくある疑問
ここまで、男性ホルモンのうちDHTを抑制する食品や成分、対策について説明してきました。
ここでは、男性ホルモンの抑制を巡る疑問をいくつか取り上げ、詳しく解説します。ぜひ参考にしてください。
男性ホルモンを抑制するデメリットは?
男性ホルモンのうち、DHTは胎生期と小児期において外性器の発達に関係しますが、成人男性には重要な働きをしません。
そのため、抑制しても大きなデメリットが生じることはありません。AGAや前立腺肥大の原因となるため、抑制することが望ましいでしょう。
ただし、テストステロンのほうは筋肉や骨の発達に関わり、集中力ややる気、意欲を高めるなど、身体にも精神にも関わる重要なホルモンです。
抑制すると、筋肉が成長しない、集中力がもたない、やる気や意欲を失う、不安やいらだちを感じるようになるなど、さまざまなデメリットが生じる恐れがあります。
そのため、テストステロンを抑制することはおすすめできません。
男性ホルモンが多い女性に現れる症状は?
男性ホルモンは女性の身体でも分泌されています。通常、女性の身体に存在する男性ホルモンは多くなく、男性の5~10%ほどです。
ところが、加齢などが原因で女性ホルモンの分泌量が減ると、相対的に男性ホルモンが優勢になることがあります。
このとき起こる症状の1つが、女性型脱毛症=FAGA(FPHL)で、頭部全体が薄くなります。
男性ホルモンは皮脂の分泌にも関わるため、過度のストレスなどが原因でホルモンバランスを崩して男性ホルモンの分泌量が増えたときは、皮脂量が増加することも多いです。
その結果、べたつきやすくなり、ニキビや吹き出物などがでやすくなります。
このほか、副腎や卵巣に腫瘍ができて男性ホルモンの分泌量が増加し、筋肉量が増える、体毛が濃くなる、声が低くなるなどの男性化の症状がでる疾患もあります。
女性が男性ホルモンを減らす薬は?
女性の男性ホルモン分泌量を減らすために用いられる薬にはスピロノラクトンがあります。
もともと高血圧や心不全の治療に使われてきた薬です。利尿作用があり、体内の余分な水分を排出してむくみを改善します。
ところが、服用した男性患者の乳房が女性のようになる、多毛になるなどの副作用が起こり、男性ホルモンの働きを抑制することがわかりました。
そこで、女性が男性ホルモンを抑える治療に用いられるようになったのです。男性ホルモンが優勢になることで起こる女性の薄毛やニキビなどの治療に用いられます。
心臓に疾患がある人などは使えません。医師の処方のもと、慎重に服用する必要があります。
男性ホルモンの抑制方法まとめ
男性ホルモンにはテストステロンなど複数の種類があります。テストステロンは筋肉の増大や集中力、決断力に関わる重要なホルモンです。
テストステロンが酵素と結びついてできたDHTは、成人男性にとっては薄毛を招くなど悪さをする悪玉ホルモンといっていいでしょう。
薄毛に悩み、DHTを抑制したいのであれば、ホルモンバランスが乱れないように生活習慣を整え睡眠時間を確保したり、食生活を改善したりするのがおすすめです。
酵素の5αリダクターゼを抑制するとされるイソフラボンや亜鉛を意識的に摂取することも意味があります。サプリメントを活用するのも良いでしょう。
とはいえ、セルフケアだけでは限界があり、専門クリニックの受診が望ましいです。初回カウンセリングは無料のところが多いため、思い切って相談してみてはいかがでしょうか。