AGAによる薄毛や抜け毛が目立ちはじめたら、早めに治療を受ける必要があります。AGAは進行性の脱毛症で、放置しているとどんどん薄くなる可能性があるためです。
とはいえ、どのような治療法があるのか、どのくらい費用がかかるのかなど基本的なことがわからず、迷っている人もいるでしょう。
そこで、ここではAGA治療の種類やそれぞれにかかる費用の目安、効果を実感するまでにかかる期間などについて解説します。
目次
クリニックで行うAGA治療の種類と副作用
AGAの主な治療方法は次の3つです。
- 薬物療法(内服薬・外用薬)
- 注入療法
- 自毛植毛
薬物療法のみの場合もあれば、注入療法と併用するケースもあります。ここでは、それぞれの治療方法の概要を見ていきましょう。
治療法①AGA治療薬
AGA治療のベースとなるのは、内服薬や外用薬の処方です。次の2種類に大別できます。
目的 | タイプ | 成分 | 代表的な治療薬名 |
AGAの原因となる脱毛ホルモンを抑制する | 主に内服薬 | フィナステリド デュタステリド | プロペシア サガーロ |
血行を促進して発毛を促す | 内服薬・外用薬ともにある | ミノキシジル | ミノタブ(内服薬) ロゲイン(外用薬) アボルブ(外用薬) |
※ミノタブは国内でAGA治療薬の認可を受けていませんが、医師の判断で処方可能です。
AGAは、男性ホルモンのテストステロンが5αリダクターゼと結びついて変化するDHT(ジヒドロテストステロン)が、正常なヘアサイクルを乱すことで起こる脱毛症です。
治療ではDHTの働きを抑制して抜け毛を防いだうえで、発毛を促し正常なヘアサイクルに近づけます。
このため、上記2つの治療法は一方だけではなく、2種類を併用することが多いです。
副作用
薬はどのようなものでも副作用のリスクがあります。AGA治療薬も、副作用が起こる可能性はゼロではありません。代表的な治療薬の主な副作用を紹介します。
成分名 | 発現する可能性のある症状 |
フィナステリド | 勃起機能不全、性欲減退、頭痛、めまい、肝機能障害 |
デュタステリド | 勃起機能不全、性欲減退、頭痛、めまい、肝機能障害、発疹 |
ミノキシジル内服薬 | 多毛症、頭痛、めまい、動悸、息切れ、血圧低下 |
ミノキシジル外用薬 | かゆみ、発赤、毛包炎、かぶれ |
どの薬も副作用の懸念があるため、服用・使用する際は、医師の指示に従い用法・容量を守ることが大切です。異常を感じたときはすみやかに中止して医師に相談しましょう。
治療法②注入療法(メソセラピー・HARG療法)
注入療法は、育毛や発毛に良い成分を頭皮に直接注入するAGA治療法です。大きく次の2つの種類に分けられます。
- メソセラピー
- HARG療法
メソセラピーは成長因子や髪に良い栄養が含まれた薬剤を頭皮に注入するものです。1回では終わらず、間を空けて6~12回程度行います。
注入薬剤に含まれる成分はクリニックによってさまざまです。注入方法は注射器やローラーなどがあり、どれを採用するかもクリニックによって異なります。
HARG療法は、日本医療毛髪再生研究会の認可を受けたクリニックで行っている注入療法です。
クリニックごとにオリジナルの薬剤を使うメソセラピーとは異なり、指定されたHARGカクテルと呼ばれる薬剤を注入します。1クール6回の治療が基本です。
副作用
メソセラピーで用いる薬剤には、成長因子やビタミンやミネラルなどの栄養素のほか、ミノキシジルやフィナステリドなどの治療薬と同じ成分が含まれていることがあります。
どの成分がどれだけ配合されているかは、クリニックによりさまざまです。
成長因子と栄養素のみ含まれた薬剤を注入する場合は、ほとんど副作用はありません。
治療薬と同じ成分を含む薬剤を注入する場合は、その治療薬と同じ副作用が起こる可能性があります。
そのほか、注入部位に赤みや腫れが起こることもあります。一時的な症状であることがほとんどで、たいてい数日で治まるでしょう。
HARG療法で重篤な副作用が出たとの報告はこれまでのところありません。ただし、赤みや腫れ、内出血が起こることはあります。
治療法③植毛
植毛には、人工の髪を植える人工植毛と自分の元気な毛包を植える自毛植毛があります。現在は自毛植毛が主流です。
AGAでは主に額の生え際と頭頂部が薄くなり、後頭部などはあまり毛が抜けません。そこで、元気な後頭部から毛包を採取して薄毛部分に植えつけることが一般的です。
後頭部の毛包を採取する方法には、皮膚を四角く切り取ってから移植単位に切り分ける方法と、パンチと呼ばれる専用器具で移植単位ごとにくりぬいて採取する方法があります。
自分の組織のため拒絶反応が起こりづらく、生着すれば2度とAGAによる薄毛を心配する必要がありません。
誤解している人がいますが、自毛植毛は髪を植えるのではなく、毛包を移植するものです。植毛してすぐにふさふさの状態にはなりません。
AGA治療で気になる期間と費用!どのくらいかかる?
AGA治療をはじめるにあたって気になるのは、費用と期間です。AGA治療は保険適用されず自由診療のため、費用はクリニックによって異なります。
ここでは、治療方法ごとの治療費のおおよその相場と治療期間の目安を紹介しましょう。
AGA治療薬の場合
1カ月あたり、フィナステリドは5000~7000円、デュタステリドは9000~1万3000円が相場です。ミノキシジルの内服薬は月1万円前後が多く、外用薬の場合は7000円前後かかります。
現状維持で良い場合は月5000円ほどで済むケースもありますが、脱毛予防と発毛促進を同時に行う場合は月1万2000~2万円ほど必要です。
オリジナルのAGA治療薬を処方しているクリニックもあり、3万~4万円ほどかかるケースもあります。
薬物療法は、年齢やAGAの進行状態、ふだんの生活習慣などによって、効果を実感するまでにかかる期間が変わり、早い人で3カ月、通常は6カ月、遅い人で1年ほどです。
注入療法(メソセラピー・HARG療法)の場合
メソセラピーはクリニックによって薬剤に違いがあり、1回あたり1万~6万円と大きな幅があります。
1度の治療で効果がでるものではなく、2週間~1カ月に1度のペースで複数回施術を受けることが必要です。
HARG療法は1回8万円で1クール6回が基本料金です。1クール終わって効果が見られない場合は追加注入もできます。
注入療法と薬物療法を併用するケースも多く、当然ダブルで費用がかかります。予算に関してクリニックの医師とよく相談すると良いでしょう。
効果を実感する期間は、薬物療法と同じです。薬物療法と注入療法を併用することで比較的早い段階で効果を実感する人が多いことがわかっています。
植毛の場合
植毛の場合、移植する毛包(グラフト)あたりの単価が決まっていて、移植したグラフト数で料金を計算するのが一般的です。
植毛方法によって単価は異なり、1グラフト1000~2000円程度です。浅いM字はげで500グラフト、てっぺんの薄毛であれば500~1000グラフトが目安です。
このほかに、基本料金が20万~30万円かかるクリニックもあります。
仮に、基本料金20万円のクリニックで1グラフト1000円のプランを選び、1000グラフトの植毛をした場合の料金は以下のとおりです。
- 基本料金20万円+1000グラフト×1000円=120万円
自毛植毛は、施術自体は1回で済むケースがほとんどです。手術後1週間ほどで生着し、毛根から髪が生えてくるまでには3カ月ほどかかります。
術後6カ月ごろには数センチの長さまで伸び始め、9カ月ごろには十分太く長く成長するでしょう。
AGA治療はどこで受けられる?おすすめはAGA専門クリニック!
AGAの兆候に気がついたら、早い段階で治療を進めることが大切です。放置していると、薄毛がどんどん進行してしまう恐れがあります。
とはいえ、育毛サロンや一般の皮膚科、AGAクリニックなどさまざまな場所があり、どこに行くべきかよく分からない人もいるでしょう。ここでは、それぞれの違いを紹介します。
育毛サロン
育毛サロンは、髪を育てる土台である頭皮の状態を整えることを目的としています。医療機関ではないため、医療行為である治療を行うことはできません。
サロンによって違いはありますが、およそ次のような施術を行います。
- 頭皮の洗浄:ヘッドスパなどを行い毛穴の皮脂詰まりや蓄積した汚れを落とす
- 頭皮の血行改善:スタッフによる手技やマシーンを使った頭皮マッサージなどを行う
- 頭皮への栄養補給:オリジナルの育毛剤などを塗布
このほか、かつらの提供や増毛サービスを行うサロンもあります。髪が健やかに育つためには頭皮を健康にする必要があり、その意味では育毛サロンも良いでしょう。
とはいえ、AGAの進行をとめるにはDHTの働きを抑制する必要があり、育毛サロンでは根本的な解決になりません。
一般の皮膚科
髪は頭皮から生えてくるため、一般の皮膚科でもAGAの治療を受けられます。皮膚科なら家の近所などにあることも多く、通いやすいでしょう。
AGA治療は月に1度のペースで継続する必要があるため、病院への通いやすさは重要なポイントです。
ただし、皮膚科は幅広い皮膚疾患を治療するため、特にAGAに特化しているわけではありません。
抜け毛を予防するフィナステリドやデュタステリドなどの処方のみのことが多く、注入療法などの専門性の高い治療は受けられないことが一般的です。
AGAの患者だからといって特に配慮されることもありません。ほかの皮膚疾患の患者と同じ待合室で待つ必要があり、これに心理的な抵抗を覚える人もいます。
AGA専門クリニック
AGA専門クリニックは、AGA治療に特化したクリニックです。専門性の高いAGA治療が受けられます。
受診時に最初に行うのは、医師や毛髪診断士などによるカウンセリングです。頭皮の状態を詳細に確認し、個人の状況や希望に合わせて最適な治療方法の説明や提案があります。
皮膚科では抜け毛を予防する治療薬のみ処方されることが一般的です。一方、AGA専門クリニックでは発毛を促すミノキシジル内服薬や外用薬を併用することが多いです。
クリニックによっては、希望に応じて注入療法や植毛を選ぶこともでき、幅広い選択肢があります。
受診時に毎回頭髪を撮影する点も特徴の1つです。どのくらい改善したか、髪が生えてきているかなどを確認できます。
AGAヘアクリニック
オンライン診察が可能で地方在住でも治療が受けられ、スタッフの対応が丁寧と高い評価を得ているクリニックです。
AGA治療は月に1度のペースで受診する必要があります。とはいえ、忙しく受診する時間がとれない人やクリニックに通っているところを見られたくない人もいるでしょう。
AGAヘアクリニックは専用のアプリをDLすればオンライン診療ができ、クリニックまで足を運ぶ必要がありません。必要な薬は自宅まで郵送してもらえます。
料金プランがわかりやすく、負担の少ない金額なのも大きな特徴です。
- 現状維持のプラン:4800~8000円(税込)/月額
- 標準的な治療プラン:1万3800~1万8000円(税込)/月額
- 発毛を目指すプラン:2万5800~3万1000円(税込)/月額
初診料やカウンセリング料は無料です。
来院治療でも、すぐに個室に案内されるため、誰かと顔を合わせる心配はありません。細部まで配慮が行き届き、安心して治療を任せられるクリニックです。
秋葉原中央クリニック
全国に22院ある中央クリニックグループのひとつです。美容皮膚科にあたり、毛髪再生認定施設として認められており、HARG療法を受けられます。
中央クリニックグループの全院が認定を受けているため、22院ならどこでもHARG治療を受けられます。
開院以来25年以上にわたり蓄積された膨大な治療実績を活かし、1人1人に合わせた効果的な治療を可能としています。
HARG療法のなかでも最新技術であるメドジェットを導入しているのも特徴です。痛みが少なく、施術も素早いとして好評を得ています。
もちろん、AGA治療薬による治療を受けることも可能です。カウンセリングでは希望の治療方法や予算についてよく相談すると良いでしょう。
アスク井上クリニック
自毛植毛で高い実績を誇るクリニックです。メスを使わず皮膚も切らないオリジナルの自毛植毛法「i-SAFE」を行っています。
メスやパンチを使わないため、通常の植毛後に残る目立つ傷跡ができる心配がありません。効率的に採取できるため、4000グラフトもの移植も可能です。
通常の自毛植毛では後頭部を刈り上げる必要がありますが、アスク井上クリニックでは刈り上げない方法でも施術を受けられます。
植毛後に髪が自然に生えるよう、植え方にこだわっている点も大きな特徴です。慎重にラインを決めて丁寧に植毛していくため、ナチュラルな生え際が実現します。
AGA治療薬による治療も行っていますが、植毛を検討している人に特におすすめのクリニックです。
AGA治療が効果ない人の特徴とは?
AGA治療は、ほとんどの人に一定の効果があらわれます。ところが、「治療をしたけれど効果がなかった」と言い切る人がいることも確かです。
実は、AGA治療を受けて効果がなかった人には次のような特徴があります。
- 1~2カ月の治療で変化がないからと治療をやめた
- 初期脱毛がでて悪化したと誤解している
- AGAが相当に進行し大半の毛根がすでに機能を喪失している
AGAの治療は、効果が出るまでに時間がかかります。早くて3カ月、通常6カ月ほどかけてようやく効果が実感できます。
ところが、1~2カ月で何も変化がないから無駄だと判断し、治療をやめてしまう人がいます。これでは、治療の効果がなくても当然と言わざるを得ません。
治療でミノキシジルを使用すると、抜け毛が急に起こることがあります。これは薬の効果で新しい髪の成長が始まり、弱い髪が毛穴から押し出されることで起こる症状(初期脱毛)です。
「症状がひどくなった」「治療の効果がなかった」と誤解する人がいますが、むしろ効果が出ていることを示しています。
とはいえ、脱毛の進行具合によってはAGA治療の効果がほとんど期待できないケースがあることも確かです。
産毛さえないレベルでつるつるになってしまっているなら、毛根がほぼ機能していないため、いくら治療しても難しいでしょう。AGA治療は早めが肝心なのはこのためです。
AGA治療に関するよくある質問
AGA治療の種類や内容、費用などについて説明してきましたが、それ以外にもさまざまな疑問を持つ方は多いでしょう。
ここでは、AGA治療に関するよくある質問を集めました。それぞれ詳しく解説します。
質問①治療を始めるのに適した年齢は?
AGAは進行性の脱毛です。兆候が現れてから時間が経つほど症状が進行し、治りづらくなります。治療の開始は早ければ早いほど効果が出やすく、改善しやすいです。
AGA治療に適した年齢は特になく、薄毛が気になりだしたら何歳であっても早めに治療を始めることが望ましいのです。
ただし、日本国内では20歳未満の患者にはフィナステリドやデュタステリドの処方は行われていません。国内では20歳以上を対象とした臨床試験しか実施されておらず、未成年のデータがないためです。
10代で薄毛に悩んでいる方は、ミノキシジルや注入療法などほかの選択肢を選ぶ必要があります。
質問②髪が生えたら治療をやめても良い?
AGA治療は費用がかかります。髪が生えて薄毛の症状が改善してきたら、治療をやめたいと考える人も多いでしょう。
残念ながら、AGAは一度発症すると完治することはありません。改善してきた状態を維持したいのであれば、原則として治療を続ける必要があります。
たとえば、フィナステリドやデュタステリドを処方されている人が服用をやめれば、抑えていたDHTが再び活発になり抜け毛が増えていきます。
ただし、髪が増えた現状を維持できれば良い場合はフィナステリドやデュタステリドのみ服用し、発毛を促進するミノキシジルの量を減らしたりやめたりすることは可能です。
メソセラピーに関しても、髪が生えてきたら、あとはフィナステリドやデュタステリドに切り替えて服用を続ける必要があります。
自毛植毛のみ、移植した毛根が生着すればあとはAGAの心配はありません。
質問③AGA治療経過や効果がわかるブログは?
AGAの治療経過や効果を知るためには、実際に治療を受けてその様子をアップしているブログが参考になるでしょう。
ここではAGA治療の経過がよくわかるブログを紹介します。
- タイトル:ガチのAGA日記
40代でAGA治療を始めた管理人が、スタート時から5か月目までの治療経過を写真とともに載せています。
治療内容はデュタステリドとミノキシジルの服用という標準的なものです。5カ月までの治療報告しかありませんが、髪が少しずつ増えていく様子がよく伝わります。
- タイトル:ヒトバシラー
体調不良が理由でAGAの治療薬の服用をやめた40代の管理人の自毛植毛経過ブログです。手術の当日から1年後まで、豊富な写真で経過が紹介されています。
詳細に書かれていて、自毛植毛を検討している人にとってかなり参考になるブログです。
まとめ:AGAは適切な治療で改善が期待できる!
AGAの治療には主に薬物療法・注入療法・自毛植毛があります。基本は薬物療法で、注入療法を併用することも多いです。
治療にかかる費用はクリニックや頭髪の状態、治療法などによって大きく異なります。
治療薬のみなら月に5000円程度で収まることもありますが、自毛植毛では100万円を超えることも珍しくありません。
初回カウンセリングの際に予算を伝えてよく相談し、どの治療をするか決めることが大切です。
AGAは進行性で、放置してるとどんどん薄毛が進行していきます。
治療を開始するのが遅くなるほど治りづらくなるため、気になったら早めにAGA専門クリニックに相談することが大切です。
適切な治療を受けて、髪を取り戻しましょう。